SNSや掲示板では、「自分は正しい」と断言し、他人の指摘を頑なに受け入れない人が目立ちます。
その発言には勢いがあり、多くの人の共感を集めることもあります。
しかし、その背景には誤った知識や浅い理解が潜んでいることが少なくなく、心理学でいうダニング＝クルーガー効果が影響している可能性があります。
ダニング＝クルーガー効果とは
ダニング＝クルーガー効果とは、能力や知識が不十分にもかかわらず、自分を過大評価してしまう心理現象です。
知識やスキルが不足している人ほど自分を過信してしまい、逆に能力が高い人ほど自己評価を控えめにする傾向があります。
つまり「知らないことを知らない」ことが、自信過剰につながるのです。
SNSで見られる典型パターンと炎上の例
1. 匿名性と「正義感」の暴走
共同通信の報道によると、SNS炎上の背景には匿名性に加え、「正義感」の暴走があると指摘されています。
匿名での投稿は責任感が希薄になり、断言的な発言が躊躇なく行われやすくなります。
こうした「自信ある正義主張」が強くなると、誤情報の拡散や偏った批判につながることがあり、SNSでの炎上構造が見えてきます。
(共同通信社)
2. 無根拠な知識を武器にした発信
インフルエンサーや自称「専門家」が、自分の経験や知識を過信して断言する投稿があります。
裏付けが不十分でも断言するため、フォロワーが情報を鵜呑みにして拡散することがあり、誤情報が広がるリスクがあります。
マーケティングでは「自信バブル」と呼ばれる現象です。
3. 過剰な評論・批判
SNSは匿名性が高いため、誰でも批評家になれます。
「一億総評論家」とも言われる状況の裏側には、知識が浅くても自分の意見を強く主張する人が増えている現実があります。
短い投稿や炎上しやすいタイトルが注目を集め、批判がエスカレートすることもあります。
4. 誤情報の拡散
発信者自身が自分の知識や判断を過信すると、根拠の薄い主張でも断言してしまいます。
受け手が疑わずにリツイートやシェアをすると、誤情報が一気に広がるリスクが高まります。 (finance.yahoo.co.jp)
5. 炎上時の反発
批判を受けても、自分の正しさを強固に主張し続け、謝罪や訂正を拒むケースがあります。
企業や個人が炎上した際に初動対応を誤ると、炎は鎮火せずさらに拡大してしまうことがあります。 (siemple.co.jp)
6. 自信批判のパラドックス
面白いことに、「ダニング＝クルーガー効果を指摘する人自身が、その効果に陥っている」という指摘もあります。
redditなどの海外掲示板では、ダニング＝クルーガー効果を議論する際によく
「この効果を持ち出す人こそ、実はその典型例になっている」
というコメントが繰り返されています。
自信過剰は誰にでも起こりうる現象なのです。
なぜこうしたことが起きるのか
●匿名性と拡散力：根拠が弱くても、自信ある発言が目立ちやすく、拡散されやすい
●承認欲求との結びつき：いいねやリツイートを得るための自信アピール
●メタ認知の不足：自分の知識や能力を客観的に把握する力が十分でない
SNSで賢く発信するために
1. 自分の発信を疑う習慣を持つ
「本当に知っているか」「裏付けはあるか」を振り返る習慣をつけることが大切です。
日常の投稿でも、立ち止まって確認するだけで誤情報の拡散リスクを減らせます。
2. 他者のフィードバックを受け入れる
自分と異なる意見や批判を受け入れることで、過信の偏りを修正できます。
感情的に否定せず、まず受け止めて考える習慣を持つことが重要です。
3. ファクトチェックを習慣化する
重要なテーマを発信・拡散する前には、信頼できる情報源を複数確認しましょう。
4. 炎上時は冷静に対応する
批判に対して感情的に反応せず、謝罪や訂正を迅速に行うことが信頼回復のカギになります。
5. 謙虚さをブランディングに活かす
本当に知識や経験がある人は、控えめに語ることで信頼を築けます。
無理に主張せず、根拠に基づいた発信を心がけましょう。
ネット時代だからこそ大切な視点
ダニング＝クルーガー効果は、単なる心理学の話にとどまらず、SNS時代の情報発信や受信に深く関わるテーマです。
無根拠な自信が誤情報を広めたり、論争を過熱させたりするのは、この効果が影響している場合があります。
だからこそ、一人ひとりが「自己認識を高め、情報を正しく評価する力」を持つことが重要になります。
まず自分の発信を立ち止まって考え、他人の意見を素直に受け入れることから始めてみましょう。
小さな意識の変化が、健全なネットコミュニケーションを育む第一歩になるでしょう。
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＜ツイッターの反応＞
QM
@Quartermaster_M基礎から体系的に知識を構造化する過程を省いちゃうと、ダニング＝クルーガー効果で身の丈に合わない知的万能感を持ってトンデモ論を振りかざすアレな人になるので超気をつけましょう。 でも、諦めなくてOK！ 大人になってからでも市販の中高の教科書や参考書を読み直せば、まだ全然やり直せます！
