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山を削る時代は終わり、次は水面を活かす時代?
2025年10月、高市政権がメガソーラー規制を全国一律で「ガチガチ」に強化する方針を打ち出しました。
これは今後「メガソーラーを安易に作らせない」と同等の意味を持つものではないでしょうか。
環境破壊や災害リスクを考慮しての方針だとは思いますが。
しかし、私はそれだけでは十分ではないと思っています。
脱炭素(正しいかどうかは置いといて)が叫ばれている昨今、再生可能エネルギーにシフトしていくことは避けられません。
メガソーラーは確かにリスクが大きい部分があると思いますが、「作らせない」だけでは脱炭素に向けての歩みが止まってしまいます。
代替として政府はすでに「浮体式ペロブスカイト太陽電池」のサプライチェーン構築を支援中です。
2025年度予算で補助金548億円、2040年までに20GW導入目標としています。
赤沢経産相も「ペロブスカイト(太陽電池)導入支援」を明言しています。
https://www.jiji.com/jc/article?k=2025102301158&g=pol&p=20251023at79S&rel=pv
この技術を利用すれば、ペロブスカイト太陽電池 × 水上設置 × 収納機構 × 多機能システムといったメガソーラーを完全に超える再エネインフラを構築できる可能性があるのではないでしょうか。
ペロブスカイト太陽電池とは
ペロブスカイトとは1839年ロシアで発見された「灰チタン石」という鉱物由来の結晶構造で、この結晶構造を利用して作られたのがペロブスカイト太陽電池です。
従来のシリコン太陽電池と同等の高い変換効率を持ちながら、軽量で柔軟なため、従来のパネルが設置できない場所への設置が可能となります。
低コストで製造できる利点も持ち合わせています。
耐用年数が5~10年程度で短いですが、複数企業が20年以上の耐用を実現するための技術開発が進められています。

メガソーラー問題の「本質」と「限界」
メガソーラーは、山林伐採などの環境破壊による土砂災害や生物絶滅、景観汚損や野生動物出没による社会反発、豪雨などでのパネル流出による(二次)災害リスク、設置面積当たりの発電効率が悪い、などといった問題を抱えています。
そのため、今後設置の限界を迎えてしまうのです。
その限界が表面化したのが、今回の政府による規制方針ではないでしょうか。

ペロブスカイト太陽電池はこうした問題を解決してくれるものになる可能性があります。

 

ペロブスカイト太陽電池の利点
ペロブスカイト太陽電池は、従来の太陽光パネルと比べて
①重いパネルが不要(軽量・薄膜【1μm】)
②曲面・水面に貼れる(フレキシブル利用可)
③低コスト(1/3〜1/5)
④同等の変換効率(26%超)
などとても優れた性能を持っています。
特に①②の利点を使えば、水上ペロブスカイト発電システムが実現可能になるのではないでしょうか。
設置場所は、ため池(全国約20万箇所【総面積3,000km²】)や、湖沼(琵琶湖、霞ヶ浦、ダム湖など)や洋上(沿岸100km以内の水域)などが考えられます。

既に政府は、経産省のGX実行計画(2025年2月閣議決定)で、浮体式(水上)ペロブスカイトを「水電解装置や浮体式洋上風力と並行支援」をしていますし、山倉ダム(13.7MW浮体ソーラー)の次世代版として、2025年にペロブスカイト試験設置を進めています。

天候対策も、NEDOプロジェクト(2025年度予算498億円)で、耐久性向上(風速50m/s対応)とセンサー連携を義務化方向にしていますし、オランダSolarDuckモデルを参考に、日本企業がテストを行っているとのこと。
https://www.enecho.meti.go.jp/about/special/johoteikyo/perovskite_solar_cell_02.html

水上設置の利点として、ため池などの蒸発防止、パネル下の日陰が魚の越冬場となり生物保護などもあり、これも農水省が蒸発防止を推進、環境省が生物モニタリング義務化。漁業協同組合への収益分配(20%)も検討中とのこと。

 

水上設置による発電量は?
私がAIで試算したところによると、450TWhの発電が可能で、2025年日本の総電力需要(予測)844.3 TWhのおよそ半分をカバーできるとの結果が出ました。

(AI試算)

発電量シミュレーション

対象
設置面積
年間発電量
ため池(70%カバー)
2,100km²
300TWh
洋上(沿岸帯)
1,000km²
150TWh
合計
3,100km²
450TWh

この数字の根拠

項目
根拠・補足
ため池面積
2,100 km²
環境省データ:全国ため池総面積3,000 km²の70%(蒸発防止+漁業調整考慮)
洋上面積
1,000 km²
経産省EEZ試算:沿岸100km×10km帯(保守的想定)
年間発電量(300 + 150 = 450)
上限目安
日射量1,000 kWh/m²/年(低め想定)× 効率20% × 稼働率15% で計算。 日本平均日射量1,450 kWh/m² では 134.9 TWh(現実スタート値)。 450 TWhは「2030年目標(効率25%+フル活用)」の上限シナリオ

 

全てが整った場合の試算ですので、この通りになるとは限りません。
様々な課題もあるでしょうし、対策も都度必要になると思いますが、実現すればメガソーラーの代わりに終わらず、原子力発電所に次ぐ発電施設が誕生するかもしれません。

日本では、ペロブスカイト太陽電池のほかに、水素エネルギー開発も行われています。
まだ調べていませんが、ひょっとしたらペロブスカイト太陽電池+水素というパッケージで進めている可能性もあります。
高市政権前からすでに、政府はあらゆる可能性を考慮して動いています。
メディアを見ているだけでは判断できないかもしれませんが、疑問や推測があるときは少し掘って調べてみるのもいいかもしれません。

 

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(出典:産経新聞)

 

<ツイッターの反応>

 

野口健
@kennoguchi0821

政権が変わりようやく動き始めましたが、メガソーラーの法改正に関してはもう何年も前からずっと指摘されてきたこと。この間、どれだけの山が破壊されてきたことか。しかし、動き出してくれた新政権には感謝。 メガソーラー規制強化へ、法令改正や監視体制…年内にも対応 news.yahoo.co.jp/articles/91082…

(出典 @kennoguchi0821)

菅原芳人 Super official
@yoshi_sugahara3

メガソーラー規制強化へ、法令改正や監視体制…年内にも対応(読売新聞オンライン) #Yahooニュース news.yahoo.co.jp/articles/91082…

(出典 @yoshi_sugahara3)

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