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先の参議院選以降話題になっている国民民主党が掲げる政策の一つに「年収の壁引き上げがあります。
この壁を引き上げることにより、世帯収入を上げる狙いがありますが、税収が約1.7兆円減少するという試算もあります。
1.果たして壁を引き上げるだけで本当に収入は上がるのでしょうか?
2.減少する税収によって私たちの生活に影響はないのでしょうか?
3.他に方法は無いのでしょうか?
今回はこの3点を考えていきたいと思います。

年収の壁とは
そもそも所得税を抑えるために、年収から控除される金額には一定の条件が設けられています。
配偶者控除が受けられる配偶者の年収上限が103万円、社会保険に加入しなくてもよい(扶養から外れない)上限が106万円とされています。
また、勤務先で社会保険に加入していなくても、配偶者の扶養に入れる上限が130万円、配偶者控除の上限が段階的に減っていく「配偶者特別控除」の範囲が150万円になっています。
この上限(いわゆる壁)を超えると、控除額が減り、所得税や社会保険料の負担が増えるため、「働き控え」が起こる原因になっています。

現在協議中の案だと、103万円→123万円(さらに修正案では低所得層対象に 160万円 程度まで拡大の見通し)
他の壁については具体的な数字は出てきていません。

この引き上げだと、単純計算で20万円収入が増えることになりますね。

壁引き上げによる税収減のメカニズム
収入が増える反面、控除の対象範囲を広げることにより、これまで所得税や住民税を支払う層に入っていた人が、引き上げによって“非課税側”に回るケースが増えることになり、税収が減少します。
つまり、これまで年収120万円で少額ながらも所得税・住民税を納めていた人が、上限引き上げによって非課税の範囲に入るようになると、その分の税収はゼロになります。
税収減による影響は?
以前、「日本初の女性首相! 高市政権の課題とは?」でも触れましたが、日本の国家予算は歳入(収入)よりも歳出(支出)が上回っており、国債の発行によって実質的な赤字を補っています。
 令和7年度一般会計予算 歳出・歳入の構成(財務省)

このような状況で税収がさらに減少すれば、行政サービスの維持が難しくなる可能性があります。
現に、OTC類似薬の保険適用除外(産経新聞)など、医療制度の一部にも既に影響が現れ始めています。

壁引き上げにより毎年1.7兆円の税収が減少するということは、1.7兆円分行政サービスが低下するということとも言えるかもしれません。
OTC類似薬の保険適用除外を見てもわかるように、一部で収入は増えるかもしれませんが、一部では負担が増えることになりかねないのです。
※OTC類似薬の保険適用除外は税ではなく社会保障の問題ですが、わかりやすい例として採用しました。

他に方法はない?
私もほかに方法がないか考えてみましたので以下に書いていきます。
あくまで個人的な思いつきですが、もしこんな仕組みがあればいいのではと思いました。

特別労働金(仮)制度を作ってはどうか
●制度の概要
103万円、130万円といった「年収の壁」はそのまま維持し、その上限を超えて働いた分の所得を「別枠」として管理する仕組みです。
通常の所得とは別に扱い、新たな課税と会計処理を適用します。

●制度の主な内容
① 対象者
・世帯年収500万円以下など、一定の所得制限を設ける。
・扶養家族がいる世帯を対象とする。
・期限は2年ごとに更新または見直し(扶養家族が学生であるか等の確認のため)。

② 課税方法
・壁を超えた部分の所得に対し、新たな軽課税(例:10%)を適用。
・所得税とは別枠で扱い、確定申告は不要。
・雇用主が源泉徴収し、納税まで行う。

③ 雇用主側の処理
・超過分の賃金を「人件費」ではなく手数料のような「経費」として計上可能にする。
・企業負担を抑え、パート・アルバイトの雇用を維持・拡大しやすくする。

●制度のメリット
・103万円、130万円などの「壁」はそのままなので制度改修の手間が少ない。
・働いた分だけ確実に手取りが増える。
・政府にとっては新たな税収源となる。
・企業にとっては経費計上により雇用コストを抑制できる。
・結果的に労働参加が進み、人手不足の緩和につながる可能性がある。

現行制度の変更だと、色々な試算やシステムの変更もあるでしょうし、税理士にも優しくないと思い、「それなら新しいもの作ればよいのでは?」と考えたのがきっかけです。
もちろん実現には検討すべき点も多いとは思いますが・・・。

7月の参院選から話題になっていた「年収の壁問題」。(実際には岸田政権時でもやっていましたが)
「年収の壁」で1人最大50万円助成 岸田首相が表明(日本経済新聞)

できるできないという議論ではなく、もっと建設的な議論をしてほしいと思います。

 

<関連する記事>

 

「年収の壁」引き上げ、自維国公4党で協議目指す 自民、国民が方針
…民民主党の榛葉賀津也両幹事長は31日、国会内で会談し、所得税が生じる「年収の壁」引き上げ実現に向けて、日本維新の会と公明党にも参加を呼びかけ、4党で協…
(出典:毎日新聞)

 

<関連する画像>

 

<ツイッターの反応>

 

玉木雄一郎(国民民主党)
@tamakiyuichiro

民間予測では7〜9月の数字が悪い。6期ぶりマイナス成長予測で関税の影響もこれから出てくる。補正予算にはガソリン暫定税率廃止と電気ガス料金補助などが盛り込まれる見込みだが、それだけでは弱い。「年収の壁」の更なる引き上げなども盛り込まないと物価高に家計が負ける。 nikkei.com/article/DGXZQO…

(出典 @tamakiyuichiro)

new hippies
@riki95287813

返信先:@NIHONJIN0212 人手不足と言いながら 年収の壁を作ったり、働き方改革の名の下に 労働時間を減らしたり…😓 やってる事がチグハグです。 働きたい人(稼ぎたい人)は働く 帰りたい人は帰る。 そして年収の壁は撤廃されたし。

(出典 @riki95287813)

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