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中国外務省は11月14日夜、日本への渡航自粛を呼び掛けました。
背景には、高市早苗首相の台湾有事に関する発言があり、外交的な緊張が影響しています。
SNSでは「来てもらわなくて結構」「たかが2兆円のインバウンド」といった声も散見されます。
確かに苛立ちは理解できますが、感情論だけで考えると長期的に日本経済を損ねるリスクがあります。

感情論は置き、現実を直視する

中国人観光客のマナー問題や文化財破損、ゴミのポイ捨てなどへの苛立ちは理解できます。
しかし、それはあくまで一部の行動です。
マナー違反や不法行為は個別対応で十分であり、全体の戦略判断に影響させるべきではありません。

関連記事: 台湾有事はなぜ日本有事なのか?中国の反発と地政学リスクを解説

感情論で「来なくていい」と考えると、中国側へのメッセージとなり、さらなる報復(輸入制限、航空便削減など)を招く可能性があります。

外貨獲得は国家戦略の核心

日本は食料やエネルギーのほとんどを海外に依存しており、毎年数十兆円単位の資金が海外に流れています。
2024〜2025年の推計では、

●食料自給率(カロリーベース):約38%

●エネルギー自給率:約13%(原子力再稼働を含めても20%未満)

●原油輸入依存度:99.7%

●天然ガス輸入依存度:97%以上

という状況です。
毎年これだけ海外に金が流れる中で、国内で消費される外貨収入は国家にとって極めて貴重です。

中国インバウンドの経済的意味

2025年の訪日外国人消費は約6兆円。
そのうち、中国人観光客が占める割合は約3分の1〜4割(2〜2.5兆円)です。
宿泊、飲食、ショッピング、交通など幅広い分野で消費され、特に中小観光業や地方都市にとっては命綱です。
過去には尖閣問題時のボイコットで、京都・大阪・沖縄のホテルや土産物店、飲食店が深刻な打撃を受けた例もあります。

観光による消費は国内で完結するため、雇用創出や地域経済活性化にも直結します。
インバウンドは実質的な輸出産業であり、国家的な外貨獲得の重要手段です。

「嫌いでも金のために利用する」という現実

好き嫌いは別として、国家として必要な外貨ならしっかり確保することが重要です。
現実の日本も同じで、来てもらわなければエネルギー代や食料代を自分たちで払わなければならない状況です。

2023〜2024年に円安が進んだ局面を見ても、インバウンドがなければ貿易赤字はさらに膨らみ、円安は現在の150円台どころか、さらに進んでいた可能性があります。
嫌いでも利益を生む相手は活用する、これが大人の国家戦略です。

外交・安全保障の文脈も無視できない

今回の中国による渡航注意は、単なる観光制限ではなく政治的シグナルです。
高市首相の発言は日本側の立場を示すものであり、中国の反応も台湾問題を背景に過剰になっています。
経済だけでなく、漁業や貿易、人的交流全体にも影響が波及する可能性があります。

まとめ

●感情論は置き、現実的利益を優先する

●インバウンドは外貨獲得・雇用創出・地域経済活性化の戦略的資源

●マナー違反や不法行為は個別対応で十分、全体戦略には影響なし

●嫌いでも、金を生む相手は「利用する」姿勢が現実的

感情と現実を切り離し、嫌いな相手からでも利益を引き出すことが、経済安全保障上の現実的戦略だと私は思います。

 

<ツイッターの反応>

 

炎絡@夢日記
@enrakuyume1

中国の渡航注意勧告とか日本国内への中国人民への注意とかのニュース聞いてて思ったんだが、どちらも中共政府や中国人民にとってさしたる問題でもないように感じるけどアレは日本のメディアに繰り返し報道させることで日本国内の世論の揺さぶりになるよう仕掛けてるんじゃないか。 メディアも故意だろ

(出典 @enrakuyume1)

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