「台湾有事は日本有事」という言葉は、安倍元首相が2021年に発したフレーズとして知られ、最近では高市早苗首相の発言をきっかけに再び注目を集めています。
なぜ台湾情勢が日本の安全保障と密接に結びつくのか。
そして、中国が理解しているはずの構図にもかかわらず、なぜ強い反発を示すのか。
その背景を整理します。
まず大前提として、このフレーズは「台湾が親日だから」「日本人が台湾好きだから」という感情論ではありません。
台湾は日本の南西諸島に極めて近く、紛争が発生すれば台湾海峡や戦闘空域は日本のEEZ(排他的経済水域)や与那国島近辺に必ず影響します。
ミサイルや戦闘機の飛行ルートも日本の専管空域と重なり、物理的に無関係ではいられません。
さらに、米軍が台湾防衛で動く場合、在日米軍基地は前線基地として使用されます。
日米安保条約に基づき、日本は後方支援を拒否できず、中国から見れば「交戦国」とみなされる可能性も高くなります。
集団的自衛権と存立危機事態
2015年の安全保障法制で定められた存立危機事態では、
●日本の存立が脅かされ、国民の生命・自由・幸福追求の権利が根底から覆されるおそれがある
●密接な関係にある国(米国)への武力攻撃がある
場合、集団的自衛権の行使が可能になります。
台湾有事で米軍が攻撃され、日本が巻き込まれれば、まさにこの要件に該当するのです。
中国の強い反発の背景
中国国内向けナショナリズム演出(約7割)
中国は、地政学的構造や日本が直接台湾を助ける意図がないことも理解しています。
それでも反発が強いのは、国内向けのナショナリズム演出が最優先だからです。
中国経済の減速、不動産バブル崩壊、失業率上昇など、国内の不満が高まる中、台湾統一は政権の支持基盤です。
外部を「敵」と見せることで国民の不満を外に向け、SNS世論を刺激して政権支持を維持します。
日本・同盟国への牽制(約3割)
残りの約3割は日本や同盟国への牽制です。
本気で日本を押さえ込むつもりは薄く、むしろ「日本がトーンを落とせばラッキー」という期待値程度です。
過去の安倍元首相や岸田政権の台湾関連発言でも、中国は騒ぎますが、日本の政策が実質的に変更されることはほとんどありません。
まとめ:台湾有事の地政学と中国の国内事情
台湾有事が日本有事であるのは、感情論ではなく地理的近接性と日米同盟の構造による必然です。
中国の反発も、国内向けナショナリズム演出が中心で、短期的に日本や米国を刺激しすぎない計算があります。
台湾有事のリスクを理解するには、南シナ海の動向、在日米軍基地、集団的自衛権、日米同盟との関係をセットで押さえることが重要です。
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<ツイッターの反応>
台聯黨Taiwan Solidarity Party
@TSU20010812日本国内閣総理大臣高市早苗様 この度総理が台湾有事につき、存立危機事態、即ち集団的自衛権の行使状況に当たり得るとの見解を示されたことは、多くの台湾人の悲願とも言うべきものであり、我々の心を強く奮い立たせるものでした。 pic.x.com/XjASeWYXvj
錯乱
@skrn_jp台湾有事の際には台湾との交易は全てなかったことにして残虐非道な行いも全て無視するっていうのはまあ賛成なんだけど、これに賛成する以上はもうウクライナやガザ地区に対してはもう何も言わないし感じないようにする。徹底抗戦も何も意味ない。売国あるのみ。


















