高市政権は安倍政権の後継じゃなく小泉政権の再来？

高市政権が発足し、２０２５年１１月７日から国会が開催されています。
高市総理は、政策において第二次安倍政権以降のやってきたことを踏襲するかのようなものを打ち出しています。
例えば金融緩和だったり、米国との親和性のアピールだったりと似ている点はいくつかあります。
しかし、高市政権の誕生とその後のSNSの様子を見ていると、状況的には小泉政権誕生時とその後の国内の様子と似ているのでは？と思います。

高市政権と小泉政権誕生の類似点
1.靖国神社参拝など保守的なカラー
両者とも靖国神社参拝など保守色が強く、保守層を取り込んでいる。
2.抱き合わせ的な登場
高市氏が総裁選に出たのは2度目でしたが、自民党内では実力者という位置にはいませんでした。
しかし、麻生氏の力を用いることによりそれを補完。
「当選すれば初の女性総理総裁」というイメージが高市氏の総裁選勝利につながった。
同じく小泉（純一郎）氏も党内実力者というには少し弱かった。
しかし、あの田中角栄の娘の田中真紀子という協力者を得て総裁選で勝利。
総理就任後、政治に興味のない人たちも「小泉さんなら応援」「高市さんなら応援」のような空気に。

ただ、違う点は高市政権後ではすでにネット社会になっており、小泉政権後と違い国民（有権者）の声が可視化されていることです。

可視化された声
11月に始まった国会後、高市総理はなぜ午前3時に出勤するのか？国会の実態と質問集中の理由にも書いた通り、＞また、国会で高市総理に質問が集中しているため、「何で高市さんにばかりに質問を？」「まるでいじめ」などといった声がネットで上がっています。

反対に「総理だから当然」「答えられないようなら総理になるな」のような声もあります。
といったSNSの投稿が目立っています。
先日も国会での質問通告のルールをめぐる問題について、X上で杉尾ひでや氏に批判が集中しました。

また、予算委員長の枝野氏にも「なぜ高市さんばかりに答えさせるのか」「委員長が判断して担当大臣に答えさせろ」などの投稿がありました。

このことから言えることは、SNSなど直接政治家に声を届けるツールがなかった小泉政権の時と違い、今まで政治に興味がなかった層が直接政治家にモノ言う世界に変化しているということです。

有権者の意識変化
高市総理の誕生によって、今まで興味のなかった人達が政治に目を向けるきっかけになったことは良いことです。
ですが、その反面政治に対しての知識が乏しい人たちからも批判が起こることも必然です。
今まではテレビに向かって意見していたことが、SNSによって政治家に容易に声が届けられます。
政治家はそういった見識不足からくる意見や批判を、ただ「違う」と否定するのではなく、丁寧に説明する必要があります。
なぜかというと、人間はたとえ自分が知識不足だったとしても、意見を否定されると自己防衛本能が働き、認知的不協和（自分が持っている価値観や知識、行動に矛盾が生じたときに感じる不快感やストレスのこと）を解消するために意固地になったり、感情的に反発したりするからです。
そのため、政治家がただ「違う」と否定するだけでは、相手の不快感を増幅させ、理解や納得を得るどころか反発を強めてしまうことがあります。

一方で、丁寧に背景や理由を説明し、情報を整理して伝えることで、相手は自分の意見を見直す余地を持ちやすくなります。
特にSNS時代では、批判や疑問の声が即座に広がるため、政治家には【感情を害さずに事実や制度を伝える「説明力」】がますます重要になっていきます。

今後どうなる？
高市政権と小泉政権の誕生とその後社会に与えた影響は確かに似ているところがあります。
しかし社会環境が大きく変化した現在、今後も同じような道をたどることはないと思います。
小泉政権時ではテレビなどのマスメディアが総理を後押しし、世論の盛り上がりをつくっていました。
しかし、高市政権のもとではSNSを通じて情報が瞬時に拡散され、まるで毛細血管に血液が行き届くように、国民一人ひとりのもとまで届く時代になっています。
そのため、支持や批判は局所的ではなく瞬時に広がり、政治家は過去のようにメディアに任せて世論をつくるだけでは通用しません。つまり、高市政権は小泉政権の再来のような現象はあるものの、社会環境の違いにより、今後は同じ道をたどることはないでしょう。
SNS時代に適応した説明力と対話力が、これからの政権運営の鍵となるのではないでしょうか。